アルル国際写真祭への旅 7日目
- 本日のフォトフォリオレビュー
- 誘われたサロンに参加
- 小さな展示でリサーチ
本日のフォトフォリオレビュー
昼に一つ、夜に一つレビューの予定。11時頃まではホテルの近くを散歩した。今日はちょうどカルヴァリ門から大通り沿いにマルシェが立っていたので、のんびりと眺めて歩く。
湿疹がひどいので、ストールで肌を覆って歩くがひどくなるばかり。この日差しにはもううんざり。ホテルでタクシーを呼んでもらい、レビュー会場へ。
今日最初に見てくれたレビュアーはMr. Freddy Denesさん。見た瞬間から「これは写真ではないよね。現代アートだね。現代アートについてはあまりアドバイスできることはないからそっちの専門家に見てもらった方がいいよ。」と最初から取り合ってもらえなかった。
作品のアドバイスはあまりもらえなかったけれど、なんだか楽しそうにおしゃべりしてくれて「今夜中心街の小さなお店でワインパーティーをするから遊びにおいで。」と誘ってくれた。アルルの地図を持っていないかと言うので、バッグから取り出すと、パーティー会場の場所に印をつけてくれた。
次のセッションは夕方4時すぎだったので、フォトフォリオ会場の外に作られたカフェでサラダと飲み物を買って、日陰に置かれたビーチチェアに体を横たえ、日本から来た兵頭君と言う若者と一緒にランチタイム。
彼も先ほど同じレビュアーに見てもらったらしく、私と同様にパーティーに誘われたとのこと。それならと夕方円形闘技場の階段のところで待ち合わせて一緒に行くことに話がまとまった。
日陰で気持ちよく休んでいるとフィリップとアニエスが通りがかる。彼はいつも私を見つけると笑顔で走って来て「どう?元気?肌は大丈夫?レビューはどう?楽しんでいる?」ととても心配そうな顔で一気に聞いてくる。
「私は大丈夫。レビュアーと話すのも面白いし、いいアドバイスもたくさんもらったよ。」と言うとパッと顔を輝かせて「よかった!とにかく楽しむことが一番!レビューを楽しく受けているのなら本当に良かった!」と繰り返す。本当にいい奴!!
昨日フリーパスチケットを買うために同じ列に並んでいた時、売り場のスタッフと交渉して私たちに英語でいちいち通訳してくれたフィリップ。まるでフランスのアバウトさに一人で責任を感じているかのよう。他の国から来た人たちを常に一生懸命気遣ってくれる。
奥さんのアニエスも同じ。私を見つけるといつも遠くから走って来て色々話をしてくれる。私は本当にこの二人が大好きで、会場や他の展示場、あるいはウインドショッピング中に二人を見かけるだけで心からほっとするのだ。ここまで大好きな友達ができたことは今回、一番大きな収穫だったとつくづく思う。
フィリップ アニエス
夕方になって二つ目のセッションが始まった。Mr.Martino Marngoniさん。一通り作品を見てから、技法やアプローチはとても面白いが、どちらかと言うと絵画や版画に近いので、紙にこだわってリサーチしてみてはどうかというアドバイスをくださった。
そして他の人と同じようにもっと大きいサイズで見せると良いとまた言われた。この光沢紙だと「写真」という要素が強調されるので、もっとそれを消し去って「絵」の要素が際立つようにしてはどうか?
例えば和紙にプリントするなどした方がもっとずっとよくなるはずと、助言をいただいた。




色々やって来たが壁にぶち当たっていたこの技法にも、ようやく光が見えて来てとてもありがたかった。
誘われたサロンに参加
一度ホテルに帰り、着替えてから少し余裕をもってホテルを出て町歩きで興味をそそられたものを撮っていく。
まずは家の土台部分にある通気口。どれも少しずつ形が違っていて面白い。こういう視点で歩くのもいい。
日本の通気口よりもおしゃれな感じが。
その後円形闘技場で待ち合わせていた兵頭君と落ち合い、William Roppさんの展覧会場のパーティーへ。
入った瞬間に私は展示されている写真に釘付け。とても黒が美しいプリントで、あまりに魅力に満ちていたので1枚1枚長い時間をかけて惚れ惚れと見入ってしまった。
写真集も多数置いてあったので片っ端から全部見て行く。
私がなかなか奥のサロンまでたどり着かないのでFreddyさんからなんども呼ばれた。「すぐ行きます!!」と言いつつ、そこからなかなか離れられなかった。
ようやく全部見終わって奥の中庭に行くと、ワイングラスを手にした人たち7〜8人が楽しそうに談笑したり、自分の作品をみんなに披露したりしている。
情けないことにアルコールを飲めない私は持参した炭酸水を飲みながら必死に耳を傾けるが、ほとんどフランス語なので全然わからない。
しかしFreddyさんに写真を見せていたBrunoという若者の素晴らしい作品群を一緒に見せてもらった。彼は英語が堪能で、私にも合間に英語で説明してくれた。


彼の作品は全てポラロイドカメラで撮られたものだが、それを全紙サイズまでデジタル処理で引き延ばし、作品にしている。これがポラロイド写真だとはとても思えない美しさ!
白黒のポラロイドってすごくいいなぁと思っていると、今はもうフィルムもないし、自分のストックもあと残りわずかだと教えてくれた。でも近い将来復活するのではないかと言う情報も持っていた。
こんな風に最高レベルの写真家たちから直接技法やその他いろいろな情報を聞けると言うのがこのフェスティバルの一番贅沢な部分かもしれない。
小さな展示でリサーチ
しばらくそのサロンでくつろいでから近くの小さな展覧会場をのぞいてみる。
数人の写真家の、絵のように美しい作品がずらり。紙の種類も様々で、画用紙のようなもの、キャンバス地のようなものなどいろいろだった。

見入っているとギャラリーのオーナーが詳しく説明してくれた。
これはEPSONの「デジタルフォトへの試み」という展示会で、数カ所の会場でいろいろな紙を使った写真プリントの展示がされているとのこと。作品も素晴らしいので是非見に行くようにと勧められた。
まさにタイムリー!レビューでいろいろな人から紙についてリサーチするように言われたところなので、展示会の地図をもらった。
兵頭君と2人、お腹が空いていたので何か食べようと、フォーロム広場近くのファド・オリへ。
「どぉ〜もぉ〜!!」とひょうきんな日本語を喋るフランス人オーナーがいる。太巻きと冷奴を注文してみた。味は期待していなかったけれどなかなか美味しかった。それにしてもアルルのような小さな南仏の町に太巻きのレストランがあるなんてとても不思議な感じがした。
暗くなってきたのでいよいよ古代劇場へ。今日は”Mud in France”が上映される。すでに数百人の人たちが客席に座って始まるのを待っている。
司会者のあいさつとともに華々しく開始された。
スクリーンには次々と美しい写真が映し出される。夜は昼と打って変わって涼しいし、本当に心地いい。その空気の中、トップクラスの写真にこんなにたくさん触れられて幸せ。
ふと気づくと兵頭君が隣で寝ている。ワインを結構飲んでいたので眠くなってしまったらしい。時間はそろそろ夜中の12時をすぎる。寒くなって来たし、兵頭君はハーフパンツ。風邪をひいてしまう。
この分だと私が彼をホテルまで送っていかないといけないかなと思ったけれど「そろそろ帰るかい?」と声をかけるとすぐにシャキッとして、ちゃんと私のホテルまで送ってくれた。いい子だ。
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